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若山牧水がこよなく愛した天然湯
群馬・法師温泉「長寿館」
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文章 : 本多 美也子(All About「癒しの旅 」旧ガイド)
酒と旅と詩に生きる。
女の私でもなにやら羨ましい人生、男性諸氏ならば、一度は味わってみたい生き方ではないだろうか。
明治から昭和初期にかけて活躍した歌人・
若山牧水
は、まさに酒と旅を枕に歌を詠むことにその人生を捧げた。
幾山河(いくやまかわ) こえさりゆかば 寂しさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく
この歌は、私の好きな牧水の歌のひとつ。
牧水は雄大な自然を前にした小さな自分を見つめ、その孤独と寂寥感を歌に詠み続けた。
この歌は牧水の代表作としても名高く、牧水の名は知らなくとも、旅先のどこかで聞いたことがある人も多いだろう。
ちなみに牧水は歌人としてだけでなく、多くの紀行文も手がけている。
今回はそのひとつ「みなかみ紀行」を手ほどきに、群馬の秘湯を訪ねてみたい。
若山牧水が川の源流を求めて(みなかみとはこの源流のことで、群馬県水上町のことではない)、自宅のある沼津を出発したのは大正11(1922)年の秋のこと。牧水は37歳だった。
長野県小諸から軽井沢・星野温泉を経て群馬県に入り、草津、花敷と来て、暮坂峠に向かう。
ここで、牧水は「
枯野の旅
」という詩を詠んでいる。
見知らぬ土地に立つ寂しさとその地で飲む酒の旨さ。当時の旅の情感が伝わってくる詩だ。(写真は暮坂峠に建つ歌碑)
暮坂峠から四万温泉(牧水はここでかなりイヤな思いをしている)を経て沼田へ、そこから秘湯・法師温泉を目指した。
法師温泉からは猿ヶ京、湯宿、老神と群馬の名湯を旅するのだが、
牧水が旅した80年前とまったく同じ姿のまま現在に至っているのは、
法師温泉長寿館
ただ一軒なのである。
牧水が法師温泉を目指した理由は、当時の参謀本部製5万分の1の地図を眺めつつ、旅の道程を考えていたところ、利根川の支流である赤谷川の源流を見たくなり、その源流そばに他の集落から遠くかけ離れた温泉記号を発見。それがすなわち、法師温泉だったのだ。
沼田から9里、約36qの山道を歩き通し、牧水は1日がかりで法師温泉に向かった。
次ページでは、牧水が愛でた<
法師温泉長寿館
>をご紹介します。
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